石原あえか先生の近著『日本のムラ―ジュ』の書評

ドイツ文学のゲーテ研究者であり、科学史の研究者としても名高い石原あえか先生が『日本のムラ―ジュ 近代医学と模型技術:皮膚病・キノコ・寄生虫』(2018) という著作を出版されました。たまたま、その書評を書くという光栄をいただきました。色々な意味で素晴らしい書物であり、大西成明という方の優れた写真も、一つ一つに引き込まれるような作品でした。ぜひご覧ください。

一方で、石原先生の視点は、ドイツ語圏でのムラ―ジュの歴史の研究のみを非常に重視して、英語圏の医学史研究で非常に活発になっている蝋細工の評論や研究などを参照していないという大きな欠陥を持っていると私は思います。その部分を補って、石原さんが素晴らしく仕上げた日本とドイツのムラ―ジュと並べてみると面白いだろうと思い、英語圏で確立している蝋細工研究の歴史をまとめてみました。とくに、女性職人の活躍が、非常に大切なポイントではないかと思っております。 Language, Information, Text, vol.25(2018): 79-83. になります。関心があるかたは、メッセージを送ってくだされば、PDFをお送りいたします。