ディオスコリデスと小野蘭山と One Health

Dioscorides Pedanius, of Anazarbos and L. Adams d Beck. De Materia Medica. 3rd, rev. ed. edition, vol. Bd. 38,  Olms-Weidmann, 2017. Altertumswissenschaftliche Texte Und Studien.
 
小野, 蘭山. 本草綱目啓蒙. vol. 531, 536, 540, 552, 平凡社, 1991. 東洋文庫.
 
Woods, Abigail. Animals and the Shaping of Modern Medicine : One Health and Its Histories. Palgrave  Macmillan, 2018. Medicine and Biomedical Sciences in Modern History.
 
ディオスコリデスの古い写本と小野蘭山の本草綱目啓蒙の植物と動物と鉱石の比率を較べてみた。ディオスコリデスの植物は600種、動物は130種、鉱石も130種くらいである。一方、小野蘭山について、巻物の数でいうと、植物は27巻、動物は14巻、鉱石は4巻、その他が3巻(水、火、土)である。動物というのは、虫、魚、貝、鳥、動物、そして「人」も含んでいる。
 
ディオスコリデスも小野蘭山も、植物に最も依存しているのは変らない。やや意外なのが、動物と鉱石の関係である。日本は動物に、ギリシアは鉱石に、より依存している。ギリシアの鉱石云々はよくわからない。江戸時代の医療が動物の薬により大きな割合で依存していることが面白い。これには江戸の日とも気がついていて、病人が動物系の薬や食事をしていることを風刺するものもあった。私が学部一年生の時に国文学の延近先生が教えてくれた川柳である。この部分をうまく整理して出すと、新しい医学史の考え方でるOne Health の概念に触れている。これは、無料で提供されている学術書であるが、動物の健康なども含めた歴史学の新しい方法である。