ヴードゥーの死と戦争兵士の理解

Cannon, Walter Bradford. ""Voodoo" Death. American Anthropologist, 1942;44(New Series):169-181."  American Journal of Public Health, vol. 92, no. 10, 2002, pp. 1593-1595, PubMed,  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12356599
 
アメリカの医師で生理学者の W.B. キャノン。「ホメオスタシス」の概念を一般向けに語ったことでも名高いし、近年は恐怖や痛みがどのような効果を人間の身体と精神に与えたのかについても名高い。その中で、2002年にアメリカの公衆衛生雑誌に1942年の論文「ブードゥーによる死について」が掲載された。一昔前の帝国主義者や人類学者たちが「ブードゥー」という概念を乱用して、未開の民族が持つ迷信の深さを批判したことが知られている。キャノンはその方向とは全く違う方法論で「ブードゥー」を理解する。私はまだ勉強していないからよく分からないが、キャノンの生理学には、二つの大戦が大きな影響を与えている。彼が最初の痛覚を論じたのは第一次大戦の影響がある時期であったし、これはヨーロッパや日本と闘っている時期である。実際、ブードゥーのようなものがアメリカやヨーロッパの兵士たちに起きた例が、第一次大戦やスペイン内乱の兵士の事例から論じられている。このことを憶えておく。