Hughes, Kathryn. The Short Life & Long Times of Mrs Beeton. Fourth Estate, 2005.
家政学の一つとして、19世紀後半の家庭の女性、具体的には妻や母が、家の衛生と医療の管理に責任を持つという重要な現象が起きている。ここで責任を持つことが、医者の命令を聴くと同時に、家の中で力を持つことになるという古典的な説明がある。キャサリン・ヒューズによるイザベラ・ビートンという非常に面白い人物の非常に優れた伝記が書いていることは、次のような解釈である。
The science of household management, as formulated by Mrs. Beeton, offered women from the same modest backgrounds the opportunity to feel a sense of mastery as they presided over a household that ran like clockwork. 236
イギリスではそうだとしたら、日本でも、20世紀前半には同じことが起きたように思う。それは伝統療法や民間療法とも併存するできたことも可能であった。家庭の女性が、西欧医学、伝統療法(漢方薬)、民間療法を用いることができた。西欧医学では医師が、漢方薬では薬局が、民間療法では隣人や実家の母親や婚家の義母などが支えた療法であった。