節気で暑さ寒さがそのまま表すものは、小暑・大暑・処暑・小寒・大寒の五つ。暑気に入るが、次の節気の大暑に対して暑さはまだ最高ではないという意味である。夏至を過ぎて、昼の長さはほんの僅かながらも短くなったとはいえ、気温は次第に上昇しつつある。
初候は「温風至」(うんぷういたる)。これは「温」と書くが、暑い風の意味である。これを「涼風始至」と書くシステムもあるが、7月7日に涼風が始めて吹くというのは分からない。日本では貞享暦と宝暦暦では「温風」と書き「うんぷう」と読まれているが、明治7年には「温風」と書くが「あつかぜ」という訓読みである。現在では「うんぷう」に戻った。
次候は「蟋蟀居壁」(しっしつかべにをる)。「蟋蟀」は昆虫だが、きりぎりす、こおろぎ、かまどうまのどれかという議論もあるという。壁でなくかというより、網戸にこちらを腹を見せていることが確かにある。
末候は「鷹乃学習」(たかすなわちがくしゅうす)。今年生まれた鷹の幼鳥が巣立って大空に舞い上がる時節。親鳥に飛び方を学ぶことを指す。