母乳原理主義と活動主義と光合成

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今日のOEDは lactivist, n. lactation と activism の二単語から形成された英語で「母乳原理主義者」というような意味である。人工乳や哺乳器などを使う人工的な哺乳を批判し、母親が乳児に母乳を与えることだけに絶対的な価値を唱えて政治的な活動をする人々である。母乳が一番の価値で、人工的な授乳は二次的なものだという主張は、結構それなりに分かる。

しかし、この母乳原理主義はもう一歩進んでいる。公共の場で母乳を与えてもよいという主張である。極端な言い方をすると、朝の山手線で母乳を与えていいかとか、学生の試験の時に女性教員が母乳を与えていいかという話である。意外なことに、公共の場で乳児にお乳を上げることは 、哺乳びんだとOK で、母乳だと眉を顰める人が多いというよく分からない部分もある。ここは議論が分かれるところだろう。さすがに activism がつくものだと感心する。eco-activism や student activism と重なっている。

もう一つ、これはまったく知らなかったことであるが、 actinism という単語がある。日本語だと 化学線作用という訳語となっている。英語から訳すと、光などの電磁の放射が科学的な変化を引き起こすことを actinism という。写真が撮られて現像されたり、光合成が起きることをさす。さらに、activism が政治的な意味を持つのは20世紀後半で、前半には第一次世界大戦期にドイツを支えるというような意味があったことも知らなかった。OEDの底力である。