医学写真


しばらく前に古い医学写真のコレクションを書評したこともあって、少し気をつけて医学写真を見るようにしているが、この写真は、特に気をつけなくても目についてしまう代物である。嫌がる女を無理やり・・・というレイプ写真に見えるのは、私の妄想だけではないと思う。これは1904年の『北越医学会雑誌』に掲載された、ツツガムシ病調査の時に取られた患者の写真。患者の右腕(画面左)に、ツツガムシの刺し傷がくっきりと見える。

 しかし、刺し傷の写真を撮るのに、なぜこの女性を裸にしたのだろう?他の刺し傷を捜したのだろうけど、こんなに肌を露出した状態で写真を撮らなくてもいい。さらに言えば、男が二人がかりで、この女性を押さえつけていることをどう解釈するべきだろうか?押さえつけ方は確かに軽い。しかし女の姿や、半分しか見えない表情には、明らかに羞恥と抵抗が感じられる。この写真がレイプ写真に見えるのは、「半ば」偶然というべきなのではないだろうか?この写真が掲載されている文献は、「恙虫病第一回調査報告(臨床的方面)」『北越医学会会報』No.144(1904-5), 500-561.