スシ・エコノミー


出張の移動時間にsushi の経済学・社会学的な分析をしたジャーナリストが一般向けに書いた本を読む。文献は、Issenberg, Sasha, The Sushi Economy (London: Penguin Books, 2007). この本は書評紙で誘惑されて買って成功した本で、一気に読んだ。 きっと「青い目が見た sushi の経済学」とかいうキッチュなタイトルをつけて(カバーにある著者の目は実際に青いようである 笑)すぐに翻訳されるのだろうな。 

・・・と思ったら、もう翻訳されていました(汗) 日経新聞社から、『スシエコノミー』というタイトルだそうです。 

食べ物の話を読むのは不思議な魅力があって、この本はとにかく面白いトリヴィアが満載で、大きな視点も面白い。1950年代にJALが帰国便のカーゴに積むためにカナダからマグロの空輸を始めた話、築地で最初に空輸された魚が登場したときの話、世界のセレブご用達の日本料理レストラン Nobu の店長の、ペルー・アルゼンチン時代の話、脂がのった味が大好きなアメリカ人のGHQが、それまではキャットフードの材料だった「トロ」の魅力を発見し、そしてLAでトロが手にはいらない季節に代用品として、アヴォガドの脂の味を使ったカリフォルニア巻が発明されたことなど、知らないのはグルメ番組を見ない私だけかもしれないけれども、まあ面白いこと。大きな視点としては、sushi は、漁業という世界で残された最後の大規模狩猟採集経済に基づきながら、マクドナルドとは違うグローバル・エコノミーの中で成立した食品産業であるという基調で、sushi をポジティヴに捉えている。グローバル・エコノミーは画一化・大量生産だと思われがちだが、sushi 職人のシンプルで美しい個人的な営みは、それと違うというのは、直感的にはわかるけれども、他にも大事なことがあるんじゃないのかなという気もする。

ちなみに、私は滅多に外国で sushi を食べないが、今回はアメリカのシーフードのメッカの街に行ったということもあって、適当にはいった場末の日本料理・韓国料理レストランでsushi を食べてみた。(こんなところにも sushi のメニューがあるのは、うわさには聞いていたけれども、少し驚きだった。)日本の感じで言う上握りが13ドルで、味はお葬式の折り詰めレヴェルだったけど、予想していたよりもおいしかった。 It’s wonderfully tolerable, isn’t it? (笑)