ウィスキーのガイド

Broom, Dave, Handbook of Whisky: a Complete Guide to the World’s Best Malts, Blends and Brands (New York: Hamlyn, 2000).

私は時々ウィスキーを飲む。イギリスに長くいたし、それどころかスコットランドに1年間住んでいたこともあるから、ウィスキーの銘柄やモルトの香りや味について知識や薀蓄があると思われることがあるが、例によって例のごとく(笑)、そんなこと、何一つ知らない。人と飲むときには、その人がウィスキーに詳しい人なら、その人と同じものを頼むし、一人で飲むときには、バーテンが勧めてくれるものを勧められた飲み方で飲む。

先日、ふと酒屋でウィスキーを買う気になって、あまりにもいろいろ種類と銘柄があって精神的五里霧中に陥って不安になり、結局「グレンリヴェット」(Glenlivet)という銘柄を買ったのだけれども、アマゾンを検索して適当にハンドブックを買ってみた。これは、製品についてのガイドというよりも、蒸留所についてのガイドであり、もっと言えば、蒸留所の歴史についてのガイドである。たとえば、しばらく前に買ったグレンリヴェットについていうと、1824年に設立されたこの蒸留所には、一年間に20万人が訪問するとのこと。近代化されて大量生産が可能な設備を持ち、写真を見ると、美しい谷間に出現した工場という雰囲気がある。なるほど。安いわけだ(笑)このハンドブックも、とても素人っぽくて、ワインのガイドの、化学と農学と醸造業と詩的言語が結びついた完成度とはまったく違っている。