『日本医史学雑誌』

『日本医史学雑誌』は、日本医史学会の機関誌である。通巻で1542号を数える、長くから続いている雑誌である。(昭和3年の1巻から昭和19年の17巻までは復刻されている。)しばらく前には雑誌としての成立が危ぶまれた時期もあったが、ここしばらく持ち直して、論文も書評も、その数も質も明確に上がっている。

第57巻の2号は第112回の日本医史学会の大会の抄録を掲載している。講演が二つ、5席の演者による医学教育の歴史をめぐるシンポが一つ、そして一般演題が90題掲載されている。鈴木則子「江戸時代の婚姻と<癩>」岡田靖雄「優生保護法における優性審査の実際にふれて」橋本明「戦後精神医療史の再検討(1)-ライシャワー事件の読み方」をはじめ、岡田雅志・内野花「18-19世紀のベトナム産肉桂の流通からみた東アジアの生薬交易」ヴィグル・マティアス「18・19世紀のフランスにおける鍼灸医学の需要について」遠藤花子「近世イギリスにおける偽医者の文化と演劇」大石杉乃「プランゲ文庫所蔵新聞にみられる<看護>に関する広告記事の分析」梶谷真司「脾肝薬王圓と『小児教育金礎』-京都の薬屋石田屋の売薬業と育児書の頒布」など。