大正の未亡人の心理とヒステリー

Y婦人「未亡人の心理―現実界を離れて」『変態心理』4巻4号(1919), 387-394.
「婦人は、ヒステリーか、結婚か、宗教(信仰)かによらなければ生きてゆかれないものだという婦人についての批評をいつか聞きました。本当に当たっているかもしれません。前に私は自然で自由でありたいと申しましたが、ヒステリーはたしかにこの自由なところがないから罹る病気だと存じます。そして子供のない未亡人がもしその後独身で通そうとする場合には、よほどの信仰を持つ人でない以上はヒステリーにもなりやすいと思います。(中略) こう考えてきますと、未亡人に最も大切なのは信仰に生きることです。ヒステリーは絶対に避けなければならぬもの。結婚はその場合と其の人によりけりで、一口に申せば浪漫的愛からの成立は許してもよいと思いますが、純なものは殆ど有りえないことと思います。多くは日向きむ子のように打算的の結婚になります。」、

ちなみに「日向きむ子」というのは、Wikipedia によると、代議士の夫の死後、若い詩人で9歳年下の林柳波と結婚してスキャンダルとなった美人であるとのこと。いや、それは、当時の女性に妬まれるでしょうね。