歯科衛生士の専門職化

宝月理恵「戦後日本における歯科衛生士の専門職化―口腔医療をめぐる支配管轄権の変容から―」『保健医療社会学論集』23(2012), no.1, 85-95.
歯医者さんに行くと、診療室が小さいだけに、そこに複雑な職業と縄張りと男性・女性、上司・部下という関係を濃密に感じることがある。その歯科衛生の世界の形成を切り開いた社会学の論考である。
「気遣いを必要とする周辺労働を従属的な女性労働者(歯科助手)に負わせることで、男性専門職である歯科医師は診療所における職階制を難なく維持することができたともいえる」
「垂直的な関係ではDHは歯科医師により排除され、一方で歯科助手を排除し、水平的関係では(准)看護婦や技工士との相互的な境界画定を進めてきたといえる」