アートフェア東京2015で、飯山由貴さんの作品を観る。恵比寿の画廊の waitingroom による展示で、飯山さんの過去の展示の作品と、新作が紹介されている。Waitingroom のディレクターの芦川朋子さんに説明していただいたが、飯山さんは「リサーチ系」であるとのこと。スタジオに籠もって作品を仕上げるというタイプではなく、現代の事件が起きている現場に行き、それを取り入れた作品を作り、その事件についての歴史や周辺の現象について調べ物をして、その調査からさらに作品を作りあげるという作風であるという意味だろう。また、その過程で、歴史学者やおそらく他の領域の学者にも直接接触して、作品のヒントを求めることもあり、私が飯山さんとコンタクトしたのは、精神医療の歴史についてインタビューを受けるためだった。私や他の精神医療の歴史の研究者たちとの接触で得た素材から作品を作る一方、ご家族の精神病になったのに対して飯山さんたちが行った面白い企画のビデオを制作して、画廊で放映していた。学者としては、本業である学生や研究者などの接触、出版関係者との接触などとは違う、新鮮で面白い経験だった。
一年か二年前の展示なのかと思うが、2020年の東京オリンピック開催との関連なのか、渋谷の宮益公園のホームレスが強制退去された事件に素材を取り、ホームレスの方のインタビューのビデオ映像と、1964年の東京オリンピックのスクラップブック、そして1924年に日本無産派詩人連盟で出品された作品を再現した製作が平地されているのは、このような「リサーチ型」のアーチストの性格を物語っているのだろう。