ムラージュと蝋細工、パピエ・マシェと張り子について

19世紀末に流行した技法で、蝋細工を用いて病理標本を作製する技法をムラ―ジュという。これを蝋細工というとその歴史の書き方が変わってくるという書評を書いた。

その過程で出会ったもう一つの技術がパピエ・マシェという技法である。日本の医学史の世界では、19世紀にヨーロッパから輸入した解剖人形がこの技法で作られていたものとして有名である。これは、紙をまぜて粘土状にしたものを圧縮・乾燥して成形するものである。これは日本のテクニックでいうと張り子であるとのこと。「張り子」という技法は、近年の妖怪の作成で有名な荒井良という作家が利用している。

実は私は『姑獲鳥の夏』の文庫本の表紙などで用いられる荒井の作品が蝋細工かと思っていたが、本棚を確認して調べたら「張り子」であることが分かった。日本のムラージュと、ヨーロッパの蝋細工と女性事業主の話もしたけれども、日本の張り子もフランスの医学と関係あるのか。

 

19世紀フランスの医師ルイ・オーズーによるパピエ・マシェの利用については、以下のサイトが便利である。

Explore Whipple Collections - Dr. Auzoux's papier-mâché models

f:id:akihitosuzuki:20180930174606j:plain