ラヴェンダー・オフィキナーリスの問題

あとすぐ終わる論文の関係で、自然の世界の薬草を、自分の生活あるい身体との関係に取り入れることを少し考えている。ハーブの精油の小瓶を買ってみたり、ヒロ・ヒライさんが編集されたルネッサンスの自然哲学への入門書を読んだりしている。

中世の修道院では修道士はもちろん宗教的な営みを送り、原理主義的な修道士もいただろうが、それなりに修道士としての人生を静かに充実される人々もいた。彼らの楽しみの一つとしては、庭で薬草を栽培したりすることであった。宗派によっては、それぞれの修道士が個人的な楽しみを持つために庭を持っていたという。そこで収穫された薬草が、保存されるために精油となったりしたことは有名である。この情報を非常に素晴らしく書いているのは Kerr (2009) である。「神が修道士個人のために与えた喜び」の中に修道院でのガーデニングが入っていることはとても面白い。個人のために与えた喜びだが、その喜びをSNSで人に見せるのは、やはりよくないですね(笑)

Kerr, J. (2009). Life in the medieval cloister, Continuum.

その中で、今の私には難しいものがラヴェンダーの問題である。現在のラヴェンダーは Lavandula angustifolia という学名で、そのもとに細工をしたものが日本の園芸店で売っている。私は Violet memory というものを買った。angustifolia というのは「狭い葉の」という意味である。これに多くの国などの名前が付けられていて、イギリス、フランス、スペイン、ブルガリアカシミール、ヒマラヤなどである。ううむ。

よくついていた名前は Lavandula officinalis. 薬用に使われるものに組織的に officilalis をつけたのは 18世紀の医師で生物学者のリンネであるとのこと。もともとは officina という言葉があった。これは office であり、修道院の収納部屋を意味し、修道士が庭で栽培した薬草をしまっておいた場所である。だから薬用に使われたものには officinalis をつけたということになる。この部分が色々とよくわからないが、このことだけ書いておく。次の論文を読んでみたが、これはまだ私がついていけないものである。

Pearn, J. (2010). "On 'Officinalis' The Names of Plants as One Enduring History of Therapeutic Medicine", Vesalius, Supplment, 24-28.