セル看護提供方式®とは何か

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週刊医学界新聞の最新号で「セル看護提供方式」®が説明されている。これが面白いのでメモ。

もともとは製造業の世界にセル生産方式と呼ばれる生産体制があり、1人、もしくは数人の小集団が製品の組み立てから検査までの全工程を受け持つことで待ち時間を排除し、生産性を上げる方式である。これを看護分野に応用したのがセル看護であるとのこと。セル看護が従来の看護提供方式と異なるのは,患者―看護師間のやりとりだけに注視するのではなく,業務の「流れ」と患者に与える「結果」にも着目し,勤務時間内に最高のパフォーマンスを上げる点にある。その中で特筆すべき点は,①受け持ち患者の均等割り振り,②看護業務のムダ取りの大きく分けて2つであるとのこと。良い意味でも悪い意味でも、患者が質が高い工業製品化しているという感じを持つ。

もともとセル生産方式は日本で提唱された生産方式。これまでの生産方式はライン方式などと呼ばれていた。19世紀の末から20世紀の初頭にかけて、アメリカを中心として大量生産、ベルトコンベア、個々の労働者は一つの作業だけというシステムが導入された。生産は向上したが、労働者たちにとって非常につまらない、殺伐とした労働環境となる。

それに対して1990年代に日本が導入したのがセル生産方式。少人数が全般的な能力を多様に持つという方法であるとのこと。ことに、多様なものを少数ずつ作っていくという方式がふさわしいとのこと。だから、看護士が、ある個人の多様性に対応できるさまざまなスキルを持つことができるとのこと。一方で、安いベルトコンベアと本物の職人が競争をしているような印象があると同時に、職人はそんなに理想的なのかという問いもありますね。