1800年から1950年までの期間に、出版された自伝に関して、どのくらいの数か、そしてどんな職業の人物が書いているのかという分析である。19世紀の最初の10年間は27点しか自伝は出版されていないが、20世紀の最初には500点、そして1930年代には1,000点を超えるという道筋を描く。そして非常に面白いのが、職業がはっきりと変化していることである。当初の自伝は、牧師と信仰者というグループと犯罪者というグループという二つのグループが非常に数が多かった。これらを合わせると当初は80%くらいであり、19世紀の前半には、これらのグループがやはり強いという印象がある。しかし、犯罪者の自伝の出版の割合が1840年代から急速に低下する。牧師や信仰者の割合はよりゆるやかではあるが減少してゆき、20世紀には急速に少なくなっていく。
もちろん一つの大きな流れとして知っておくと良いというか、知っておくべきだろう。しかし、私が見ている東京の精神病院の患者は、犯罪者と信仰者、場合によっては犯罪者と教祖の両者をそなえ、両者を自伝に書き込む患者もいる。