トロイ展と富士山とテラナキ山

少し時間ができたので、大英博物館のトロイ展のカタログをしばらく見た。トロイは私の人生の中でかなり重要な部分である。小さな頃からシュリーマンの自伝風の物語は愛読書だった。発掘現場に友人の医学教授のフィルヒョーが現れて、まるで能のような謎のプレゼントをして、それが問題を解決するという名場面がある場面はよく覚えている。ホメロスの『イーリアス』の作品は大学生になってから愛読書になった。この訳者が呉茂一で、精神医学者の呉秀三の息子であることは、当時はまったく気がつかなかった。そんな、どうでもいいことを思い出しながら、少しの間だけ、一部分を熱心に読んだ。
 
その中で、不思議な錯覚をした部分がある。2010年から2011年にかけて、ニュージーランドの版画家である Marian Maguire さんの作品をみた。19世紀後半にNZのマオリ族が白人たちに抵抗する計画を立てていたことと、トロイの戦争をかぶせた作品で、これ自体もとても面白い。しかし、その背景の中心が富士山だとしばらく思い込んで、どういう意味があるのだろうと一生懸命考えていた。1秒や2秒という話ではなく、1分か2分くらいである。もちろん本文に説明は書いてあって、これはテラナキ山 (Mount Teranaki) という山で、NZの名勝である。
 

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もともとの版画

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NZの写真

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富士山の写真