1900年ボストンのくる病

 未読山の中からボストンのくる病についての論文を読む。 Morse, John Lovett, “The Prequency of Rickets in Infancy in Boston and Vicinity”, Journalof the American Medical Association, 34(1900), 724-726.

 一つの調査をしてそれをまとめたシンプルな論文。1898年の6月から7月にかけてボストンの乳児病院の外来にきた0歳から2歳までの患者を400人を調べて、くる病の有無を調べた。主に骨の異常を見たという。その結果、318人(79.5%)にくる病を表す異常が見られたという。 Rosary (肋骨念珠)という、くる病患者の肋骨に数珠にようにできる骨の異常が、余りにも沢山の子供に見られるので、その病院の医者たちは、肋骨念珠は正常な現象ではないかとすら疑っていたそうだ。318人のうち、ロシア・ポーランド出身のユダヤ人家族が122人、アイルランド人が93人、アメリカ出身が32人、イギリス、スコットランド、カナダが17人、黒人(negro) が15人、イタリア人が15人など、移民の比率が多い。当時の病院だから、きっとまだ貧しい階層の患者が多かったのだろう。しかし80%というのは・・・すごい。 

 日本ではくる病は存在しない(なぜだろう?)と思われていたけれども、明治40年代に富山県の氷見郡で「奇病」と称されるものがくる病だとわかって、活発な研究の対象になっている。これはちょっと面白いトピック。実は論文を一本書いてみたいと夢想している。