明治日本の軍事衛生

新着雑誌から明治日本の軍事衛生についての論文を読む。文献は、Lee, Jong-Chan, “Hygienic Governance and Military Hygiene in the Making of Imperial Japan, 1868-1912”, Historia Scientiarum, 18(2008), 1-23.

中心的な話としては、長与専斎-後藤新平森鴎外高木兼寛-Real Triumph of Japan (Seaman) という有名な事例をつなげた研究。ヒストリオグラフィとしては、日本が近代国家を形成し、植民地をそなえた帝国になる過程において医学と衛生学が重要で、これを軍事衛生で検討しようというもの。その意味では新鮮味はないけれども、個々のテーマは丁寧に詰められていて、私が初めて知った細かいエピソードをたくさん知ることができた。また、それぞれの主題と関係が深いドイツやイギリスのモデルについても簡潔だけれどもいい説明があった。この主題についての記述の中で、私が知る限りではもっとも優れたものだと思う。