必要があって、コレラの療法についての論文を読む。文献は、Howard-Jones, Norman, “Cholera Therapy in the Nineteenth Century”, Journal of the History of Medicine and Allied Sciences, 27(1972), 373-395.
かつてのコレラに対する療法を「善意に満ちた殺人」と冷笑して、そのグロテスクさをこれでもかこれでもかと書き連ねる論文。かつての医学史研究の中でも、最良の部分にはこの手の研究態度は少なかった。具体的な治療法が(軽蔑的にだけれども)紹介してあるのがこの論文の価値。 内容を簡単に書くと、
1850年までは
瀉血が主であったこと、下剤と浣腸、吐しゃ剤も用いられていたこと、
1850年以降は、それまでの療法全体が使われなくなったこと。