青木歳幸『小城の医学と地域医療―病をいやす―』(佐賀:
佐賀大学地域学歴史文化研究センター、2011)
近世の医学史の新しい標準的な教科書『江戸時代の医学』を書かれた青木先生から、編集された展覧会のカタログをいただいた。小城(おぎ)市の医療についての展覧会で展示された資料や事物の図版だけでなく、史料の復刻や解説もついた、青木先生のお仕事らしい高い水準のものである。安政6年から万延元年の「引痘方控」、馬
郡元孝なる医者の
戊辰戦争の従軍記、柴田花守なる神道家で若いころは医学を学んだ人物が、反欧米を唱える中で、コレラとキリスト教は同様の毒であるということを唱えた書物など、貴重な資料が復刻されている。特に、柴田の「虎狼利・?教毒予防法」は、丁寧に読まなければならない。