探偵小説とハンセン病

細川涼一「探偵小説とハンセン病--国枝史郎小栗虫太郎橘外男」仏教 (50), 122-129, 2000.

細川涼一「ハンセン病と勃興期の探偵小説--正木不如丘と小酒井不木」部落解放 (495), 40-49, 2002.

細川涼一「米田三星論ノート--探偵小説と医学」ヒストリア (177), 88-108, 2001.

 

日本の探偵小説は欧米とは異なった性格をもち、「論理を基調とする理知文学として発達した欧米の探偵小説」と違って、怪奇性や幻想性を強調する変格探偵小説が多かった。そこに怪奇性・幻想性を高める材料としてハンセン病が登場させることが非常に多かった。そのような一連の作品と作家を丁寧に取材して書いた一連の論文である。ハンセン病が重要な素材となっている探偵小説はどのようなものがあるのか、それは誰が書いたのか、その作者は他にどのような医学的な作品を書いているのかというような疑問に対して答えてくれる優れた論文である。著者は有名な中世史の研究者であるとのこと。