ガレノスとガレニズムについての論文を二つ、簡単なメモ。
Lloyd, G.E.R., “Galen’s Un-Hippocratic Case-Histories”, in Christopher Gill, Tim Whitmarsh and John Wilkins eds., Galen and the World of Knowledge (Cambridge: Cambridge University Press, 2012), 115-131.
ガレノスはヒポクラテスを大いに尊敬しているが、ガレノスの症例の構造はヒポクラテスの流行病論の症例のそれとは大きく違う。
Porman, P.E., “Medical Methodology and Hospital Practice: The Case of Fourth- / Tenth-Century Bagdad”, in : Warburg Institute Colloquia 12 , Warburg Institute, London, Jun 2008. Published in: In the age of al-Fārābī : Arabic philosophy in the fourth-tenth century pp. 95-118.
ガレノスは哲学を重視し、医学の理論と経験の関係について、ガレノス自身が洗練された議論を準備していた。これを引き継いだアラビアの医学は、この方法論をガレノスやヒポクラテスの説に適用して、ガレノスやヒポクラテスに駁論して誤りを正そうとしていた。その時に用いられた重要な仕掛けが病院における診療であった。これは数が多いから粗雑な意味での統計的な観察が可能であるし、珍しい病気を観察する可能性も増える。また、病院で観察された患者については、詳細に記録された可能性が高い。