19世紀日本の薬物の貿易について

宮下三郎. 長崎貿易と大阪: 輸入から創薬へ. 清文堂出版, 1997.
 
日本の薬に関する論文を仕上げていて、宮下三郎の著作から龍脳と樟脳についての面白い部分を引用した。薬品産業に関して、江戸時代の後半部と明治から昭和戦前期までの期間の薬品産業について、連続と発展を指摘する部分である。これは龍脳と樟脳という二つのよく似ている薬を比較している。いくつかの構成要素があって、1) 江戸時代の後半部における輸出と輸入が上昇したこと、2) 薩摩藩などが中心になって伸ばした技術の進展があったこと、3) 明治以降には政府が後押ししてこれらの薬品の化学的な合成も成功したこと、4) 薬品産業の第二次産業革命に支えられて国際制覇した大規模な生産が行われたことである。
 

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宮下先生の書物より、樟脳の輸出のトン数をあらわしました。