港町のネットワーク

岡本哲志『港町のかたち―その形成と変容』(東京:法政大学出版局、2010)
17世紀後半には、舟運航路と港町が相互補完するかたちで充実し、海、および河川の船による舟運のネットワーク化が完成する。「津々浦々」という言葉が「いたるところに」という意味に使われるように、港町は内陸を含め日本の国土にくまなく点在立地した。だが近代以降は、物流の主体が鉄道、自動車に変化し、遠距離の物流を担い続けてきた舟運も船が大型化し、大型船が接岸できる近代港湾に変貌してしまう。その結果、近世に大きく発展した港町の多くが再び漁村化し、交易の場としての繁栄を失う。 8

現在は漁村に見えるものがかつては港町であったかどうか知る手段があるという。それは、造り酒屋と和菓子屋だそうだ。なんとなくわからないでもないけれども、港町から港町へと移動する商人や船乗りたちには、甘党も辛党もいたということなのかな。それとも、お菓子のお土産を子供に買っていったのかな。