モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』が新国立劇場での公演が始めた。もともと愛しているオペラでもあり、父親のLPで聴き、大学で故高橋康成先生に戯曲の『アマデウス』を習い、その映画も観て、モーツァルトの精神疾患を実感した(笑) ロンドンではサー・トマス・アレンがタイトルロールを演じて、深い洞察力を発揮した素晴らしい作品も観た。
昨日観た『ドン・ジョヴァンニ』は、激しく心に食い込むような作品だった。新国立劇場も非常に上手になった。曲も、最近のヨーロッパでは少し流行しているヴァージョンのものだとのこと。こんなソプラノやテノールのアリアは聴いたことがない部分もあった。ハープシコードもあり、それを聞いたことがあったかどうか憶えていないが、昨日ははじき出すような鮮やかな演奏がとても印象に残った。パンフレットでは、小宮正安先生のウィーンとプラハの対比、岡田暁夫先生の評論、鹿島茂先生のカサノヴァ論、そして青柳いずみこさんの楽しいお話しなど、どれも面白かった。
一番圧倒的な部分は、外国で活躍している日本人のメゾソプラノの脇園彩さんが演じたドンナ・エルヴィータが素晴らしかったことである。日本の女性が自立できるようにイタリアではなっているのだろうなと実感した。