Entries from 2006-08-01 to 1 month

『八つ墓村』ほか

旅行中の雑駁な読書の紹介が続く。今回はぐっとポピュラーに、ベストセラー推理小説である。横溝正史『悪魔の手毬唄』(東京:角川文庫、1971) しばらく前に『津山三十人殺し』の優れたノンフィクションを取り上げたときに、この事件は『八つ墓村』のモデル…

柳田国男と身体感覚の歴史

旅行中に読み散らした本の雑駁な感想が続く。 柳田国男『木綿以前の事』(東京:岩波文庫、1979) なぜこの本を買ったのか忘れてしまった。読んでみると、あの仕事をしたときに読んでおけば良かった、と後悔する。最近、そういう本が多い。 冒頭に近い場所で…

オリヴァー・サックス

今回の出張は飛行機の乗り換えがとても多かったので、文庫本を山のようにかばんにつめていった。そのうちの一冊が、オリヴァー・サックスのまだ読んでいない作品だった。オリヴァー・サックス『火星の人類学者』吉田利子訳(東京:早川書房、2001) 世界的に…

三島由紀夫の『葉隠』論

長い長い出張から帰ってきました。お休み中にも訪問してくださった方、申し訳ありません。その間に頂いたコメントへの答えなどは、これからおいおいしていきます。 出張中というのは飛行機の中や空港の乗り継ぎの待ち時間、時差ぼけで目が冴えてしまっている…

あと少しです

世界を一周する長い長い出張も、あと少しです。 ヘルシンキで激しい下痢に苦しんでいますが、このブログ主は死んでいないので、ご心配なく。 すぐに更新を再開できます。

しばらくお休みをいただきます

ここしばらく更新も滞っているところ恐縮なのですが、しばらくお休みを頂きます。

自殺の「脱精神医学化」?

自殺のリサーチが続く。今回はデータ分析。わりと専門的な話になります。 18世紀以来でも、19世紀以来でも、20世紀以来でもいいけど、とにかく自殺は歴史上のある時点から「精神医学化」されたというのが、研究者の間での通り相場である。それまでは宗教上・…

恋の悩みにインシュリン♪

自殺のリサーチが続く。日本の精神医学者による自殺論は巨大な三部作がある。王子脳病院の医師・小峰茂之の『情死の研究』『親子心中の研究』『同性心中の研究』である。その小峰の「恋愛論」を読む。文献は小峰茂之「恋愛論」(1)-(6) 『医事衛生』8(1938), …

戦争は自殺の質を好転させる?

自殺のリサーチが続く。文献は、大西義衛「類聚自殺に就て」『日本医事新報』No.920(1940), 1561-1563. 大西義衛の「昭和の新自殺型」の一連の研究の一つである。「戦国時代のハラキリ、元禄の心中に続いて、昭和は親子心中という新自殺形態を生み出した」、…

明治のコスプレ自殺

自殺のリサーチより、今日は画像の紹介。文献は、矢野春利「日本の縊死百二十四例ニ就テ予ガ法医学的ノ研究」『国家医学雑誌』No.410(1921), 109-124. 法医学の論文で、縊死の死体があったときに、自殺と他殺を見分けるための心得を、自身が実地に見た例を元…

近代的自殺は技巧的で茶気がある?

自殺のリサーチが続いている。待望の大西義衛の論文のコピーがたくさん届く。文献は大西義衛「近代自殺者の動向に就て」『脳』10(1936), No.4, 2-8. 大西義衛という人物は私はこれまで知らなかったが、戦前から戦後にかけて自殺について多くの論文を書いてい…

華厳の滝・三原山・死のう団

一週間ほどお休みをいただきましたが、今日から再開です。いよいよ目前に迫ってきた自殺のリサーチから。文献は、朝倉喬司『自殺の思想』(東京:太田出版、2005) 時間の都合で最初の三章しか読めなかった。本来、ノンフィクション作家が書いたものなので、…