Entries from 2013-01-01 to 1 year

「子供における痛み・病・トラウマ―歴史・社会学・人類学などへの演題募集」Feb 2014, London

http://www.sbi.kb.se/sv/Aktuellt/Kalendarium/Call-for-papers---Pain-Illness-Trauma-and-Death-in-Childhood/Call for Papers: Pain, Illness, Trauma and Death in ChildhoodDeadline date: 31 Dec 20131 February 2014 University of Greenwich, Centr…

医学コレクションとその聴衆 (London, Sept 2014)―演題募集

Call for Papers: 'Between medical collections and their audiences' - EAMHMS Congress, London 2014EAMHMS Congress, London 2014'Between medical collections and their audiences'September 4th - 6th 2014Science Museum, Royal College of Surgeons…

精神医学史研究の新しい展開へ―演題募集

http://altpsychiatricnarratives.wordpress.com/call-for-papers/Call for Papers: Alternative Psychiatric NarrativesThis conference will take place on the afternoon of Friday 16 May, and allday on Saturday 17 May 2014, at Birkbeck College, Lo…

悪魔憑きと20世紀の精神医学

ワラスロフ・イヴァシュキェヴィッチ『尼僧ヨアンナ』関口時正訳(東京:岩波文庫、1997)を読み直して、20世紀の精神疾患をめぐる文化の構造を考える。 『尼僧ヨアンナ』は、20世紀ポーランドの作家のイヴァシュキェヴィッチが1943年に執筆し、46年に出版し…

英語を組み込んだ大学の授業

これからの大学にとって、学生が母国語以外の言葉で高等教育の成果を表現するスキルを身に着けることは最重要な目標の一つである。私も大学の教師になって15年以上になるが、その間、色々と方法や基本的な考え方を変えながら、どうやって外国語を大学の授業…

科学史の未来と史料―昭和17年のヴィジョン

医学史研究の過去・現在・未来という内容の文章を書くことになっており、欧米に関することだけでなく、日本の医学史研究がこれまでどのようなヒストリオグラフィに関する洞察を行ったのかを少し丁寧に調べている。川上武などが一つの軸になるだろうか、予想…

江戸時代の走り踊る狂人―『嬉遊笑覧』より

江戸時代後期の随筆・類書である『嬉遊笑覧』の巻十一に「乞丐」と題された部分があり、非人、「聖」を名乗った乞食、ハンセン病をわずらった乞食などが説明されているが、その中に気違い・狂人に深く関連する記述が含まれているのでメモした。喜多村筠庭『…

雑誌『優生学』より

大正末期から戦中期まで20年間にわたって刊行された雑誌『優生学』(『ユーゼニックス』として創刊)の復刻が不二出版から刊行され始めたのでチェックした。 『優生学』は、兵庫県の香櫨園(現在は西宮市)の医師である後藤龍吉が始めた雑誌である。1924年の…

『江戸怪談集』より精神医学史・医学史関連のメモ

『江戸怪談集』高田衛編・校注、上・中・下巻(東京:岩波書店、1989) 江戸の怪談集から抜粋したコレクションを読み、精神疾患と医学関連の素材のメモを取る。 狂気の娘と死骸のこと 旅僧が一夜の宿を乞うた家、男と女が住むが、その場で病の妻が死んでしま…

ナチスの医師と「悪の陳腐さ」

Aly, Goetz, Peter Chroust and Christian Pross, Cleansing the Fatherland: Nazi Medicine and Racial Hygiene, translated by Belinda Cooper, foreword by Michael H. Kater (Berkeley: University of California Press, 1994). ドイツで行われてきたナ…

『ピエール・リヴィエール』

ミシェル・フーコー編『ピエール・リヴィエールの犯罪 : 狂気と理性』岸田秀・久米博訳(東京:河出書房新社, 1995)よりメモ 「病気中、母の乳房が張って、乳が腐ってしまうので、父は乳首を吸って、毒液を吸いだしては床に吐き出してやりました」 60 「誰…

2013年度 医療・文化・社会研究会 第3回例会

2013年度 医療・文化・社会研究会 第3回例会 Medicine, Culture and Society Seminar Series 日時:11月27日(水)17:00~19:00 場所:慶應義塾大学三田キャンパス 南校舎476教室 発表者:磯野真穂(早稲田大学文学学術院) タイトル:日本における摂食障…

坂井建雄『人体観の歴史』

坂井建雄『人体観の歴史』(東京:岩波書店, 2008) 坂井は解剖学者であると同時に、解剖学史研究の第一人者である。この著作は、解剖学の歴史のレファレンスとして使うのが最適である。解剖学の業績を持つ医学者や哲学者などについての説明とその歴史的な意…

人種隔離と熱帯医学

帝国主義と身体についての授業の予習。トピックは熱帯医学と人種隔離の関連について、具体的に言うと、マラリアの感染メカニズムの理解、「免疫」と罹患率の人種的な違いについての経験などから、白人と現地人の人種隔離に基づいた都市政策が現れることを論…

ヨーロッパにおける病院の形成:1500-1800年

執筆中の『医療の歴史』の近世の病院の章の節の断片です。この節では、全体としては、近世のヨーロッパにおいて三種類の病院が形成されたことを記述するのが目的で、以下、ペストに対する隔離病院、梅毒病院、そして一般的な病院が形成されたことを順番に論…

Lazaretto という単語の訳し方

"lazaretto" という単語があり、もともとはイタリア語であるが、英語化している。 lazaret というスペルもある。この単語の訳し方が難しく、中世から近世のヨーロッパの医学史における二つの重要な疾患であるハンセン病とペストの流行と対策がからんでいる。…

「生きる価値がない生命の破壊」―英訳 Kindle 版をチェック

Karl Binding and Alfred Hoche, Allowing the Destruction of Life Unworthy of Life: Its Measure and Form, translated by Cristina Modak (2012) http://www.amazon.co.jp/Allowing-Destruction-Life-Unworthy-ebook/dp/B00AR34GZA/ref=sr_1_2_bnp_1_kin…

ニュルンベルクのナチスの医師たちの裁判

Pross, Christian, “Nazi Doctors, German Medicine, and Historical Truth”, in George J. Annas, Michael A. Grodin eds., The Nazi Doctors and the Nuremberg Code: Human Rights in Human Experimentation (Oxford: Oxford University Press, 1992), 32…

日本の戦犯の減刑について―日暮『東京裁判』より

日暮吉延『東京裁判』(東京:講談社, 2008) 戦犯に対して、裁判を行い、刑を確定したたのちにこれを赦免することは、アメリカの戦犯を裁く計画の一部であったため、ドイツでも日本でも早くから戦犯の赦免が論じられてきた。1949年の12月にマッカーサーは善…

BC級戦犯―林博史の新書より

林博史『BC級戦争裁判』(東京:岩波新書、2005) BC級戦争裁判についての書物から要点をメモ。 ポツダム宣言が捕虜虐待の戦争犯罪人に対する厳重な処罰を予告していたこと。1945年の10月には山下奉文中将が占領地での虐殺などの罪に問われて死刑、1946年の1…

泉鏡花「三人の盲の話」

泉鏡花「三人の盲の話」 鏡花全集第14巻に収録された短編。明治45年の作品。深夜に女の家に急ぐ途中で、四谷の谷底の坂道を上っているときに、辻で三人の盲に会って「女が自分の影に取り憑かれて殺される」という話を聞くという物語。影に憑かれるという主題…

ナチスと医療倫理の問題―シュミットの論文から

Schmidt, Ulf, “Medical Ethics and Nazism”, in Robert Baker and Laurence B. McCullough eds., The Cambridge World History of Medical Ethics (Cambridge: Cambridge University Press, 2009) ケンブリッジ大出版局の World History のシリーズは、グロ…

セミナー「日本とインドにおける精神分析と宗教」

2013年度 医療・文化・社会研究会 第3回例会 Medicine, Culture and Society Seminar Series 発表者(Lecturer):Dr C.G. Harding, Lecturer in Asian History, School of History, Classics and Archaeology, University of Edinburgh タイトル(Title):Reli…

天才と狂人―大正期の事例

島田清次郎(1899-1930)は、大正期の大ベストセラー作家で、そのカリスマ的な言動は大正期の社会現象にもなった人物である。かれは1923年に大スキャンダルを起こして文壇を追放され、翌24年には精神病院に収容されて、6年間収容されたまま肺結核で死亡する。…

シュニッツラー「夢小説」

アルトゥーア・シュニッツラー『夢小説 闇への逃走 他一篇』池内紀, 武村知子訳(東京: 岩波書店, 1990) 「闇への逃走」と同じ岩波文庫に収録された中編小説。第一稿は1907年に完成し、発表されたのは1925年である。18年間にわたって「寝かせ」と書き直し…

『死霊解脱物語聞書』

『死霊解脱物語聞書』小二田誠二解題・解説(東京:白澤社、2012) 寛文12(1672)年に起きた憑霊事件を取材して1690年に出版された江戸時代のルポルタージュ。のちに曲亭馬琴、鶴屋南北、三遊亭円朝などによって、小説・歌舞伎・落語などに翻案された。 160…

遠藤周作「松葉杖の男」

遠藤周作「松葉杖の男」 遠藤周作に「松葉杖の男」という短編があり、精神分析医の診療の様子が淡々と描かれている。20年以上前に読んだ作品である。先日の学会で、戦後のアメリカで行われていた心理テストの話を聞いて、この作品のことを思い出していた。ち…

第一次大戦とドイツの戦争神経症

Doris Kaufmann, Science as Cultural Practice: Psychiatry in the First World War and Weimar Germany, Journal of Contemporary History, Vol. 34, No. 1 (Jan., 1999), pp. 125-144. 第一次大戦においてドイツの軍と予備軍は合計すると約60万人の戦争神…

映画『戦争神経症』(1917)の分析

Edgar Jones, “War Neurosis and Arthur Hurst: a Pioneering Medical Film about the Treatment of Psychiatric Battle Casualties”, Journal of the History of Medicine and Allied Sciences, 67, no.3, 2011: 345-373. 1917年に作成された医療映画「戦争…

精神病院と「時」の問題

溝渕園子「消された〈時〉--チェーホフ『六号室』の二つの日本語訳をめぐって」敍説 3 (7), 5-12, 2011. チェーホフ「六号室」は1892年に発表された中編である。チェーホフが1890年に流刑地の実態調査のためにサハリンに1年ほど滞在したあとに書かれ、田舎町…