Entries from 2018-04-01 to 1 month

アメリカ陸軍による兵士の幻覚剤人体実験とナチスによる電気痙攣による患者の多数殺人

2017年の第4号のHistory of Psychiatry に掲載された二つの20世紀中葉についての記事。 Ross, C. A. (2017). LSD experiments by the United States Army. History of Psychiatry, 28(4), 427-442. doi:10.1177/0957154x17717678 第二次世界大戦期は各国で兵…

ガーデニングとバラにおける保守主義(笑)

25年ほど前の話。イギリスのガーデニングの人気TVで、ガーデニングの保守系と革新系の対立がとてもよく分かるのが面白かった。BBC2の金曜夜のTVでは中庸の保守系、それを継いだガーデナーは中庸の革新系。時々ラジカルな革新系が出てきて、アヒルを植物や人…

新国立劇場のフィレンツェを舞台にした「ダブル・ビル」(2019年4月)

www.atre.jp オペラの世界で人気がある歌は、そのオペラ作品が人気があり、作品としてよく上演される中でその歌に出会うものが多い。それと違うパターンで、独立した歌として人気があるけれども、作品を上演することはほとんどない歌というものがいくつかあ…

物語と自己と激動の時代ージクムント・フロイト博物館での講演

www.freud-museum.at ウィーンのフロイト博物館からメールがきて、ドイツ人で、哲学、歴史、ユダヤ学を学んだ人物であるフィリップ・ブロムの物語に関する講演の広告。5月になってすぐのご講演であるし、ドイツ語であるけれども、歴史の中で私たちのありかた…

キャサリン妃の早期退院について

イギリスのキャサリン妃が出産してから7時間で退院したことが日本で話題になっているとのこと。私の妻の実佳は8時間で退院して、少し負けたと残念がっています。イギリスでは、出産は夜におきて、次の朝に退院するのが相場とか。日本の基準からみるととても…

『狂気とモダニズム』再訪のコンファレンス

historypsychiatry.com 私がポスドクを始めたのは1992年で、その少しあとに、アメリカのルイス・サースという優れた心理学者と哲学者の Madness and Modernism という著作が、精神医療の歴史を研究する学者の間で非常に話題になった。狂気とモダニズムの類似…

<ジークムント・フロイト博物館>のプレゼント、そして「このドイツ語はなんと書いてあるのですか?」(笑)

https://www.freud-museum.at/en/ https://www.freud.org.uk/ オーストリアの精神病医で精神分析を提唱したジークムント・フロイトを記念した博物館は2つ知っている。一つはウィーンで居住し診療していたベルクカッセ19番地に再建された「ジクムント・フロ…

協力者の応募:日本の医学・アート・民間宗教におけるイメージのデータベース

Call for Collaborators: Imagining and Developing Images of the Body in Medicine, Art, and Folk Religion | H-Japan | H-Net 日文研をベースにした企画。日本の医学、アート、民間宗教に関するイメージを議論して論文集などを作成するとのこと。ぜひご…

がん生存率の国際比較

医学書院/週刊医学界新聞(第3269号 2018年04月16日) 『週刊医学界新聞』3269号の記事より。2018年の3月に Lancet に発表されたCONCORD-3という大規模な国際比較のがん患者生存調査に関して。がん患者の生存率に関しては、1950年代のノルウェーの調査、1970…

中世ヨーロッパのハンセン病隔離とケアの意味

Brenner, E. (2015). Leprosy and charity in medieval Rouen: Royal Historical Society. 中世のヨーロッパにおけるハンセン病者は二つの両極的な側面を持っていた。隔離・他者化と介護・慈善の対象という二つの側面である。私が医学史を勉強し始めたときに…

佐藤元状『グレアム・グリーン ある映画的人生』

これもしばらく前ですが、佐藤元状先生に、ご単著の『グレアム・グリーン ある映画的人生』をいただきました。小説と映画という二つの方法の交錯を考えている書物。私は医学史ですが、写真、映像、症例などのさまざまな方法の作用を考えるようになりました。…

北村紗衣『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち:近世の観劇と読書』

しばらく前のことでしたが、日吉の研究室で、北村紗衣先生から最初のご単著をいただきました。『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち:近世の観劇と読書』です。優れた英文学者たちからは、いつも多くを学ばせてもらいました。何か大切な時に、インスピレーシ…

イギリスにおける医学史の発展について

私がイギリスに留学している1989年から1996年という期間は、イギリスにおける医学史研究が非常に急速な発展をした時期であった。1970年代に始まり、現在でも発展が新しい方向に展開している。1970年代には、イギリスの医学史研究はアメリカやドイツよりもず…

科学革命期の新しい医学の発展ー『医学史とはどんな学問か』第六章

keisobiblio.com 「けいそうビブリオフィル」の連載です。17世紀の科学革命期に、新しい発展を見せた医学の発展を記述しました。主人公たちは、一方では血液循環のウィリアム・ハーヴィーであり、もう一方では、デカルト、ガリレオ、ニュートンに倣った医者…

「いつだって猫展」と脚気のお守り

「いつだって猫展」|静岡市美術館 静岡市の市立美術館で「いつだって猫展」の展示が始まった。名古屋、愛媛、京都でも開催された展示である。実佳が招待され、一緒に面白い展示を楽しんだ。江戸時代と明治初期のアートにおいて、ネコが面白可笑しく用いられ…

スカンディナヴィア諸国の優生学と不妊手術

Broberg, Gunnar, and Nils Roll-Hansen. Eugenics and the Welfare State : Sterilization Policy in Denmark, Sweden, Norway, and Finland. Uppsala Studies in History of Science. Rev. pbk. ed ed. Vol. v. 21: Michigan State University Press, 2005.…

現代の中国の医療に関する統計について

Reinarz, Jonathan, and Rebecca Wynter. Complaints, Controversies and Grievances in Medicine : Historical and Social Science Perspectives. Routledge Studies in the Sociology of Health and Illness. Routledge, 2015. Jonathan Reinarz 先生はバ…

流行と身体の歴史の新シリーズ(マクミラン)

https://mobile-base.springer-sbm.com:44300/SAP/CUAN/ZCUAN_PERSEMAIL?sap-outbound-id=0000002023:1:5490 ロンドンのスザンナ・ビエノフ先生が軸になって、マクミランから流行と身体の歴史の研究書のシリーズが打ち立てられることになりました。シリーズ…

新しい遺伝学と<人種>の概念

www.nytimes.com New York Times にハーヴァードの遺伝学の教授が、人種概念をどのように遺伝学から理解するのかという古い問題に貢献している記事。人種というのは社会的な現象であるということを認めたうえで、しかし、さまざまな<人種>間の違いが、単な…

陽成天皇と<変成男子>?

歌舞伎座の会員誌である「ほうおう」を読んでいて、『雷神不動北山桜』(なるかみふどうきたやまざくら)の見どころを読んでいたら、いきなり変成男子に出会ったのでメモ。手元にある『歌舞伎手帖』も見たが、この件については何も書いていなかった。 この話…