Entries from 2018-01-01 to 1 year
www.oed.com 昨日のOEDの今日の英単語は likembe という楽器の名前。英語では20世紀の半ばから現れた単語で、私としては初めて聞いた言葉である。ネット上で少し調べてみたら、音色やメロディーが素晴らしく、単純さと深さとモダニズムが重なったようである…
www.lrb.co.uk 来年は「身体の歴史」を一般教養で教える。これまでは疾病の歴史、精神医療の歴史、医療の歴史という三つの主題を持っていたが、ここに身体の歴史を加える。これは20年以上前に初めて教壇にたったときに導入したが、あまりうまく行かなかった…
エコノミスト・エスプレッソより。マラリア克服が今年も停滞しているというニュース。グラフを見るとマラリア克服が再び停滞していることがよくわかる。患者数としては世界で2億1600万人で、前年の2億1100万人よりも増えている。死亡数も44万人と同じ数であ…
www.lrb.co.uk 近年の医学史の領域には、色々な系列の学問が急速に導入されている。私が「新しい医学史」と呼んだ歴史学、文学、社会学、人類学などはもはや古典になっている。新しいものは、過去の人体のDNAを分析して、その個人や共同体に関する数十万年単…
www.eventbrite.co.uk ロンドンのUCLにて重要な講演。19世紀末のパリという大都市における精神疾患において、症例誌に記された患者の言葉を、大都市における一つの自己についての語りや短い自伝だと考える分析方法。ロイ・ポーターの「医療の下からの社会史…
en.oxforddictionaries.com 2018年に選ばれた英単語は toxic とのこと。これは17世紀にラテン語の toxicus から派生して「毒がしみ込んだ」「毒に侵された」という意味になる。これはギリシア語でいうと、pharmakon toxikon という言葉。しかし、「毒の」と…
一泊で三千院と桂離宮に行ってきました。大原の地は千有余年前に魚山と呼ばれ、仏教音楽(声明・しょうみょう)の発祥の地であるとのこと。とても大切なことですが、初めて知りました。2016年の年末に実佳と娘が行ったのですが、その時に私は行っておらず、…
www.lrb.co.uk LRBの 11 October 2018号に Katherine Rundell が面白い記事を掲載。ウォンバット wombat というオーストラリアの有袋類の話である。 ウォンバットは、カピバラとコアラと小熊に似ているが、アナグマには似ていない。動きはものすごく迅速であ…
今朝の庭。今年最後の開花をまだ続けているデズデモーナと、力尽きたガートルード・ジキル。色々と思うことが多い二つの光景。そして、デズデモーナを色々な意味で最高傑作だという作庭師の言葉を認識しました。
下田次郎. 胎教. 増訂 edition, 實業之日本社, 1923. 下田次郎という東京女子高等師範学校の教授のヒット作の一つが『胎教』である。1913年に書かれ、1923年には増補改版されている。下田次郎は東大の文学部哲学科で教育学を学び、イギリス、アメリカ、ドイ…
1944年から45年にかけて『台湾医学会雑誌』に、4つに分割された論文が刊行。全体としては「高砂族の眼科学的調査」と題され、四つの論文は、サイシアト族、タイヤル族、不明だがおそらくブヌン族、アミ族と題されている。不明というのは、1945年の44巻1号に…
家の布団カバーはロンドンのV&Aで買った。10年くらい使っているが、はじめて千鳥格子の模様だと気がついて、実佳に聞いてみたら、これは「アルハンブラ」という名前で売っていたとのこと。ネットで千鳥格子を調べたりアルハンブラを調べたりして、この二つが…
Anderson, Warwick. "The Case of the Archive." Critical Inquiry, vol. 39, no. 3, 2013, pp. 532-547, doi:10.1086/670044. ウォリック・アンダーソン先生はオーストラリアの優れた医学史研究者で、アジア研究にも貢献している。フーコーや批評理論などを…
historypsychiatry.com 第一次大戦期の精神病院。イギリスの精神病院では、戦争神経症を確定的に発見して、現代の男性と現代生活のストレスの関係を読み解いた重要な貢献をしました。それと同時に、ドイツでは、異様に高い死亡率が記録され、栄養や生活状態…
Wallace, S. E. and A. Eser (1981). Suicide and euthanasia: the rights of personhood, University of Tennessee Press. 生命倫理学の議論の中で日本と欧米の自殺の議論が違っていた記憶がある。現在の状況はどうなっているのだろうか全く知らないが、日…
小野, 昭. (2012). ネアンデルタール人奇跡の再発見, 朝日新聞出版. ネアンデルタール人について学者たちが合意していることを知ろうとしたけれども、それは私が理解できる形では提示されていない。しかし、日本の考古学者が書いたネアンデルタール人の人骨…
www.oed.com 数日前の OED の今日の英単語が pataphysics という英単語を掲げていた。これは、フランスの近現代の作家であるアルフレッド・ジャリ(1873-1907) が作り出した概念である。自由自在な勝手さを持ち、一方で鉄の規則に厳密に従いながら、へんてこ…
叢書エログロナンセンス 第Ⅰ期 グロテスク 全10巻+補巻 - ゆまに書房 ゆまに書房の方が『グロテスク』『文藝市場/カーマシャストラ』『談奇党』『猟奇資料』などの復刻資料のパンフレットを置いてくださった。とても面白い雑誌である。どの程度深くかかわっ…
午前中に映画を観てきた。『チューリップ・フィーバー』という17世紀のアムステルダムがチューリップ・マニア(英語では tulip mania) となった時の人々を描いた映画。 たまたま私の仕事で18世紀のオランダの医学史の部分を書いたりしたこともあって、とても…
実佳がBBCの記事を教えてくれた。1855年にクリミア戦争で撮影された将軍バルゴニー卿の写真。最初の戦争神経症の写真とか。 www.bbc.com
https://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5717a2.htm Sutherland, A. et.al., Syncope After Vaccination --- United States, January 2005--July 2007, MMWR, May 2, 2008 / 57(17);457-460. 2005年から2007年にかけての新しいワクチン導入にともなっ…
https://www.upress.pitt.edu/series/histories-and-ecologies-of-health/ 香港大学のロバート・ペッカム先生から新しい出版企画のおしらせ。ピッツバーグ大学から「健康の歴史とエコロジー」というシリーズの出版です。日本の状況は、福田先生、脇村先生、…
Longstaffe-Gowan, Todd. The London Town Garden 1700-1840. Yale University Press, 2001. 18世紀になると植物園・薬草園と個人の邸宅の境界があいまいになるケースが多数現れる。ロンドンの大都市に位置する個人の家に、植物園のような優れた庭を作ろうと…
アフリカの彫刻と中国の古美術を少しだけ集めています。今年買うことができたのは、漢代の二羽の鳥の飾り。体内に鈴を持って音が響く細工です。具体的にはどのような機能を果たすものなのか古美術屋さんにもわからないとのことですが、漢代であることは間違…
集団心因性疾患についていくつかの短い論文を読んでメモ。これを 疾患 と呼ぶことはどうなっているんだろう。英語の illness を 疾患 と呼んでいいのだろうか。調べておこう。 Philen, RossanneM et al. "Mass Sociogenic Illness by Proxy: Parentally Repo…
Boer, Lucas et al. "Frederik Ruysch (1638–1731): Historical Perspective and Contemporary Analysis of His Teratological Legacy." Americal Journal of Medicial Genetics A, vol. 173, no. 1, 2017, pp. 16-41, doi:doi:10.1002/ajmg.a.37663. ルイシ…
ロシア・インフルエンザは1889年に始まって1890年に流行が一応終わっている。20世紀には著名な3つのパンデミックがあり、スペイン・インフルエンザ (1918)、アジア・インフルエンザ (1957)、そして香港インフルエンザ (1968) であるが、その前のパンデミック…
今日のEconomist Espresso におけるとても面白いグラフ。20世紀における戦争の死者を掲げたグラフであり、授業などで用いるのにとても便利である。基本は、20世紀の戦争における兵士と市民の死者数を、人口10万人あたり何人かの比率で示している。ジェノサイ…
With and Without Galton: Vasilii Florinskii and the Fate of Eugenics in Russia - Open Book Publi 優生学と言えばナチスドイツだけを取り出すパターンはだいぶ前に消えた。19世紀から現在まで、各国によって同じ優生学なり民族衛生の同じ言葉で大きく異…
www.historytoday.com History Today の記事のメールでのお知らせが来た。その中の一つの記事で、旧ルーマニア女王であるマリー女王が第一次大戦中の兵士が収容された病院を訪問した動画がアップされている。マリー女王はヴィクトリア女王の孫娘にあたり、イ…