Entries from 2018-01-01 to 1 year

1929年の『グロテスク』座談での強精剤一覧

徳永、保、高田、義一郎、酒井、潔、梅原、北明. "強精剤の座談会." グロテスク, vol. 2, no. 1, 1929, p. 188-207. 『グロテスク』での強精剤について4人で行った座談会。北原は文化人、徳永保と高田義一郎は医師、酒井潔はよくわからないがアラビアのこと…

研究倫理指針に基づく公告文 / Patient Notification

math-history.com 科研共同研究(基盤研究(A))として、三つの疾患MATH(精神疾患、結核、ハンセン病)について、医学とのかかわりも視野に入れつつ人文社会科学の視点から研究します。この基礎になる史料が病院の資料です。このため、文部科学省・厚生労…

エコノミストから今年の本を二冊

土曜日のエスプレッソは、今年の本をいくつかのジャンルから選んだもので、名前を聞いたものや買って読んだものもあった。これを12月に読んでおこうと思って選んだ二冊が、わりと正反対の立場のものである。一つが現在の状況を肯定するもの、もう一つがたぶ…

20世紀前半の日本での麻薬の売り方について

梅原, 北明. "阿片考." グロテスク, vol. 2, no. 1, 4, 1929, pp. 19-38, 140-173. 高田, 義一郎. "東西毒薬奇談." グロテスク, vol. 2, no. 7, 8, 1929, pp. 139-144, 142-147. 薬の歴史に関して少しリサーチをしている。まったくの偶然で『グロテスク』と…

松沢病院と女性患者たちと蘆原将軍の経済と弱気な新聞記者 (1928)

『グロテスク』の医療と薬物関係の記事を読んでいる。その中で松沢病院を訪れた面白い記事を読んだのでメモ。 尾高、三郎. "天下無敵の誇大妄想狂 蘆原将軍と語る." グロテスク, vol. 1, no. 1, 1928, pp. 129-135. 梅原と一緒に松沢病院に行く。そこで梅原…

クリムトと日本・中国・ビザンチン帝国

www.royalacademy.org.uk ロンドンの RAでクリムトとエゴン・シーレ。今回も観ることができないが、クリムトとシーレの手書きの描画がたくさん出てくるという、RAのような大美術館としてはむしろ新しい企画であるとのこと。この「60秒でマスターできるクリム…

16世紀メキシコの感染症による壊滅の病因について

www.theguardian.com 16世紀のヨーロッパとアメリカ大陸の関係は医学史や疾病史の中でも有名な素材である。ヨーロッパが感染症をもたらしたこと、アメリカはそれまでヨーロッパと交通がなかったこと、そのためアメリカはヨーロッパ人がある程度免疫を持って…

『夜明け前──呉秀三と無名の精神障害者の100年』上映会との共同企画 兵頭さんからのご案内

兵頭晶子さんから広報のメッセージを頂きました。12月22日に映画『夜明け前』についてお話をされるとのこと。以下がおしらせになります! ****** 今井友樹さん監督作品の記録映画『夜明け前──呉秀三と無名の精神障害者の100年』上映会との共同企画で、『精神…

『封神演義』と天然痘

少し前のメモの『封神演義』を少し読んで見た。おそらく明代の中国で書かれた神話と歴史の融合のような物語。日本ではあまり知られていないし、私は数か月前に初めて聞いた物語である(無知でごめんなさい)。中国では非常に良く知られた神話であるとのこと…

『ハンセン病の歴史』などの無料小冊子配布

https://www.york.ac.uk/history/global-health-histories/publications-outreach/leprosy/ ヨーク大学の歴史学科で教授をしておられる医学史家のサンジョイ・バッタチャリア先生。これまでも何回か来日され、来年も慶應日吉で講演されることになっている。…

剽窃研究のディシプリン(笑)

日本の評論家が外国の学者の著作を剽窃していたということが話題になっている。色々と仰る皆様がいるだろう。私も一つ言っておきたいことがある。どちらかというと楽しい話です(笑) ドイツには剽窃研究を専門にしている学者がいる。メディア学か情報学の学…

『歴史の中の感情』を頂きました!

櫻井文子先生から、訳書を頂きました。ウーテ・フレーフェルト『歴史の中の感情』です。私はまだ勉強していませんが、感情の歴史はとても重要な主題だと思っています。勉強を始めさせていただきます! 櫻井先生はケンブリッジ大学の HPS (History and Philos…

近現代中国の精神医療の歴史

h-madness から。 近現代日本の精神医療で何が起きていたのか。私が向き合っている大きな問題です。近現代中国で何が起きたのかを知ることは、とても大きなヒントになると思います。 シカゴ大学出版局からの書物の表紙です! The Invention of Madness: Stat…

『超男性』の癲癇とマスターベーションと患者自身

Jarry, Alfred. 超男性. 渋沢龍彦訳. 白水社, 1989. ジャリ『超男性』は、若い頃に不思議な魅力を持っていたけれども、数十年間にわたって読んでいなかった。それを久しぶりに読んでみた。色々と面白かった部分を思い出し、昔読んで面白かった部分が違って見…

ブルーノ・タウトと自己と結核と狂気

先日京都に行って桂離宮を楽しみ、ブルーノ・タウトのことを思い出したので、『日本 タウトの日記』を読んでみた。1933年に日本に亡命し1936年にトルコに移住するまでの日記である。病院の建築について何か言っていないかと思って眺めてみたけれども、患者と…

「けいそうビブリオフィル」と18世紀中葉のアルブレヒト・フォン・ハラーの実験を追試した都市の分布

keisobiblio.com 色々なお仕事が遅れている一つの理由は「けいそうビブリオフィル」に連載している「医学史はどんな学問か」を書いていたからです。今回は18世紀の啓蒙主義で、あと少しで完成するところまで来ました。 今回は18世紀の啓蒙主義の時代である。…

実佳によるバラとシクラメン

実佳がキャノンのカメラを使ってバラとシクラメンの写真。バラはガートルード・ジキルです。

17世紀の男性器自傷の研究論文

academic.oup.com Social History of Medicine の最新号。今回の人気は17世紀のイングランドの男性器自傷という現象の位置づけでしょう。古代のオリゲヌス、中世のアベラール、17世紀のロバート・バートンの『憂鬱の解剖』、それに近世の多くの医学書などか…

今年のバラは長いのでしょうか?

今朝の庭。まだ花を咲かせているバラの写真を二点。深紅がウィリアム・シェイクスピア2000、白がデズデーモナです。11月の末というと、例年は、つぼみはつけるのですが、花を咲かせられない状態になることが多いような気がするのですが。

もう一つのドクター像の版画(昭和10年)

鹿沼市立川上澄生美術館 今朝の流行英語の図像、実佳と話していたら、もともとは昭和10年に刊行された版画集の話をしてくれた。これは川上澄生という英語教師で版画家となった人物の作品。そこではたしかに Doctor が描かれている。まず医は仁術という雰囲気…

ついでにもう一つ 1880年代日本で刊行された「流行英語かるた集」の Physician の訳は?

publicdomainreview.org ついでにもう一つ。publicdomainreview からの記事からふと迷い込んだ通販のイラスト。この英語を、日本語に訳して絵に描くという記述で、「流行英語尽くし」という子供向けに作られたもの。Song を「浄瑠璃」と訳すとか、Pig が何を…

「(船乗りが長い航海中に貝殻・鯨骨などに慰みに施した)細工、(貝殻・鯨骨などの)細工物」(笑)

www.oed.com 昨日のOEDの今日の英単語は scrimshaw. もちろん初めて経験したような気がして語義の説明などを読んでいるうちに、大昔に少年文学で読んだようなかすかな記憶が出てきた。日本語に訳すと「(船乗りが長い航海中に貝殻・鯨骨などに慰みに施した)細…

デジタル情報学:精神医学と心理学の歴史の新しく「際どい」歴史記述法

h-madness からのおしらせ History of Psychology の最新号は、デジタル情報学の歴史研究での用い方の特集。近年の歴史学者の多くは計量的な分析を通じて新しい分析をすることができますが、同時に際どい分析になることも事実です。この号の論文もすべてを読…

バビロニアで発掘した神殿の彫刻をロンドンの大英博物館に運ぶこと

大英博物館のバビロニア展のカタログがいろいろな意味で素晴らしい。面白いことの一つが、ロンドンへの移動を再現した図版である。ニネヴェで発掘した神殿の彫刻をどうやって船で運び、ロンドンの大英博物館に入れたのかを現したものである。私の記憶だと、…

Prospect の「このような事実」コーナー

Prospect というイングランドの中道左派系の月刊誌があって、だいぶ読んでいる。2018年の11月号が到着。まず読むのが In fact というコーナー。イギリスのジャーナリズムが好きな形式で、「このような事実が現実です」という感じが楽しい。同じような感じで…

庭のヤマカガシとの闘い

昨日昼ご飯を食べているときに、庭のヤマカガシを見つけた。庭でヘビを見つけることは、最近では滅多にない。私の家は50年ほど前に作られた。村から少し出たところのミカン畑を買い、その一角に家を建てた。ヘビの数が圧倒的で、ヒトの数はごく少なかった(…

日本の新しい公害ーツーリズムの<トキシック>(笑)

エコノミスト・エスプレッソが日本で外国人の観光が新たな問題を作り出しているかもしれないという記事。東京と京都は確かにそれを言えるかもしれない(住んでいないのでわからないです)それよりも面白かったのは、「観光公害」と「ツーリズムの汚染 pollut…

江戸時代の輸入薬(唐薬種)の統率のメカニズム

今井, 修平. "江戸中期における唐薬種の流通構造--幕藩制的流通構造の一典型として." 日本史研究, no. 169, 1976, pp. p1-29, https://ci.nii.ac.jp/naid/40002929209/. 今井, 修平. "大坂市場における株仲間発展の一形態--道修町薬種中買仲間を例として." …

Medical Humanities から2つの論文

BMJ (British Medical Journal) において、医療人文学分野に特化した Medical Humanities という雑誌がある。医学・医療と人文社会科学をどう融合させるかと考えているが、この雑誌も急速に論文の質が向上している。一つは文学系の目でフランケンシュタイン…

Ghosn のこと

Going, Ghosn? Nissan-Renault Carlos Ghosn’s standing after rescuing Nissan from bankruptcy in 1999 was such that the French-Lebanese-Brazilian came seventh in a poll of Japanese asked who should run the country, and became the hero of a ma…