Entries from 2019-05-01 to 1 month

野菜と山菜と有用植物

草川俊. 野菜・山菜博物事典. 東京堂出版, 1992.草川俊. 有用草木博物事典. 東京堂出版, 1992.Kerr, Julie. Life in the Medieval Cloister. Continuum, 2009. 草川俊という人物の名前を聴いたのは数週間前である(恥)宇都宮で高等農林学校で農業を学び、山…

魔女狩りとアルベルトゥス・マグヌスの秘密の方法

Sallmann, Jean-Michel et al. 魔女狩り. vol. 16, 創元社, 1991. 魔女狩りの授業を一回分する理由で、ジャン=ミシェル・サルマンの『魔女狩り』も読んでみた。古くから存在する魔女の考えと、16・17世紀のヨーロッパの近代化の中で発生する魔女狩りが日本…

歌舞伎と高時と外郎売

7月の歌舞伎公演は、「高時」と「外郎売」という医学史の重要な作品が入っている豪華なものである。「高時」は、もともとは『太平記』の序盤で登場する愚かな執権である北条高時のストーリーで、高時が酒を飲んでいる時に多くの芸人が現れ、歌を歌いながら踊…

17世紀の博物誌の挿絵の利用

publicdomainreview.org 17世紀の芸術は多様な用いられ方をする。美しいバラが「死」の象徴になる vanitas という趣向で有名なのがベルギーの画家の ヤン・ファン・ケッセルである。今朝の Public Domain Review に、ヴァン・ケッセルがバラだけでなく多くの…

「文理連接プロジェクト」と社会科学と公衆衛生の関係

慶應義塾大学・日吉キャンパス・教養研究センターが開催する新しいプロジェクトである「文理連接プロジェクト 医学史と生命科学論」が第一回、第二回と研究講演を終了することができました。ご協力ありがとうございます。4月に開催した第一回の講演について…

ホフマン「隠者セラーピオン」

Hoffmann, E. T. A. and 甫. 深田 ホフマン全集, 創土社. この4-1にあたる。 E.T.A. ホフマンという作家は1819年から1821年までに刊行した4巻本がある。その少し前から書かれていたものと、ほぼその時期に書いた作品である。ホフマンは1822年に46歳で梅毒で…

歴史と記憶と精神医療の症例誌

Le Goff, J. (1992). History and memory, Columbia University Press. Le Goff, J. and 孝. 立川 (2011). 歴史と記憶, 法政大学出版局. 精神医療において症例誌を用いることの大きなメリットが二つある。一つは歴史学が持つ客観性を高め、過去の人々の精神…

田中先生からご著書を頂きました!

京都大学の田中祐理子先生から『病む、生きる、身体の歴史』(青土社、2019)を頂きました。解剖学と血液循環論、顕微鏡の利用、19世紀と20世紀の比較など、時代的にも主題的にも非常に豊かな内容を持つご自身の論集です。フランスの歴史と哲学と科学論の伝…

クワガタムシ!

庭にクワガタムシが来ていました。たぶんコクワガタというオスのクワガタムシです。少し怒らせるとクワガタを広げて構えていました。 クワガタを広げています!

小満(二十四節気)

本来は5月21日に始まった節気だが、記入が遅れました。 「小満」の時期。これは、立夏―小満ー芒種という流れである。立夏は夏が始まること、芒種は穀物の種類である「芒」の種にかかわることである。私の印象でいうと稲を植えることである。同じ「芒」である…

ガーデニングの記事

庭の記事。バラの最初の開花が終わりました。クレマチス2種類、キョウカノコ、ナツハゼなどが咲くようになりました。朝は少し庭仕事をしました。 プリンセス・ダイアナ。女性には圧倒的な人気です(笑) ジャックマニー。 キョウカノコ 二種類のクレマチスと…

子供英語スペリング大会!

spellingbee.com エコノミスト・エスプレッソより。毎週土曜日が一番楽しい。今日はヨーロッパの小さい国が楽しむ「極小国オリンピック」の話も面白かった。ヴァチカン教皇庁の人口は1,000人以下だが、この極小国オリンピックには参加し、枢機卿か聖職者が参…

ヒトと人間であること

wellcomecollection.org ウェルカム財団の新しい常設展示は「ヒトと人間であること」Being Human というもの。ヒトと人間の身体の将来について、21世紀に何が起きて私たちに幸福をもたらし、どんな悲惨なことが起きるのかを示すもの。数多くの芸術家がその表…

医療や疾病関係の地図を作るソフト

knoema.com 医療や疾病の歴史をしていると、現在の世界における状況に触れる必要があることが非常に多い。「結核の死亡率は2017年にはこのようなもので~」というセリフを言う必要がある。もちろん自分でがんばればできるが、時間がとてもかかる。そこで、デ…

19世紀イングランドの刑務所囚人の記憶と記録について

academic.oup.com ヒラリー・マーランド先生の論文。19世紀後半の刑務所囚人の記録を管理側や宗教側の解釈と対比させる素晴らしい論文。学会誌の購読者でなくてもおそらく自由に見ることができるので、ぜひご覧ください。 イングランドでは1840年代には刑務…

台湾の学問の指導力について

エコノミスト・エスプレッソが台湾において同性愛者が結婚してよいという法律が通ったというニュースがあった。この現実に向かって努力してきた皆さま、おめでとうございます! 一つ印象に残ったのは、日本の同性愛者も結婚できる法律を目指しており、十数件…

世界の毒蛇の世界

エコノミスト・エスプレッソの記事。WHOが世界の毒蛇をどうコントロールするかという問題。 WHO と snakebite で検索すると、それはそれは強力なデータなどと出会う。一年間に世界で8万人から14万人くらいが咬まれて死亡しているだとか、その3倍くらいが手術…

ルート・ブリュック展(東京ステーションギャラリー)

rutbryk.jp 東京ステーションギャラリーでルート・ブリュックというフィンランドで活躍した女性陶芸家の作品展。東京ステーションギャラリーに行くのは、実は初めてであることに気づく。うううむ(涙) 陶磁器やセラミックの非常に美しい作品の展示。色彩や…

現在の米中関係と30年前の日米関係

www.economist.com エコノミストから現在の米中関係と30年前の日米関係をなぞらえる記事。1985年にニューヨークで日米英仏独の5か国で成立したいわゆるプラザ合意 Plaza Accord が、その後の日本経済の深刻なスランプに陥ったことと、現在の米中関係の深刻さ…

「文理連接プロジェクト」の動画・原稿・資料類の公開が始まりました!

lib-arts.hc.keio.ac.jp 5月22日の夕刻に、慶應義塾大学・日吉の教養研究センターの基盤研究「文理連接プロジェクト 医学史と生命科学論」が第二回の研究講演会を開催しました。慶應義塾大学の荒金直人先生による「ラトゥールの科学論と「物の歴史性」を非還…

超高価な薬品開発を透明化する問題

www.economist.com エコノミストの記事で、最先端で超高価な薬の問題を論じていて面白かった。超高価な薬品の価格がどうしてそうなるかを公に明らかにする透明性の要求の問題である。 先進国で問題を起こしている高価な薬が問題となっている。イングランドで…

新国立劇場の『ドン・ジョヴァンニ』

www.nntt.jac.go.jp モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』が新国立劇場での公演が始めた。もともと愛しているオペラでもあり、父親のLPで聴き、大学で故高橋康成先生に戯曲の『アマデウス』を習い、その映画も観て、モーツァルトの精神疾患を実感した(笑)…

コリアンダーとトコジラミとシイタケ

日曜の朝にルッコラとコリアンダーを撒いた。他の野菜と違って、虫に食べられるということがないし、とても便利である。 コリアンダーは「パクチー」という名前で売っていた。パクチー、チャンツァイ、中国パセリなどの色々な名称がある。コリアンダーという…

エドワード・ジェンナーとカッコーの托卵

www.oxforddnb.com 天然痘のワクチンをつくったエドワード・ジェナー (1749-1823)のDNBの記事。色々な部分を的確に記述している素晴らしい記事である。天然痘と人痘、牛痘、馬痘などの記述も的確である。一つ私が改めて認識したのが、カッコーの托卵を天然痘…

ラヴェンダー・オフィキナーリスの問題

あとすぐ終わる論文の関係で、自然の世界の薬草を、自分の生活あるい身体との関係に取り入れることを少し考えている。ハーブの精油の小瓶を買ってみたり、ヒロ・ヒライさんが編集されたルネッサンスの自然哲学への入門書を読んだりしている。 中世の修道院で…

タレイランという人物

タレイランという人物は色々な意味で有名な人物である。歴史的には有名さより悪名が高いといったほうがいい。「原理がない」という言葉が自動的に出てくる(笑) 本名はシャルル・モーリス・ド・タレイラン・ペリゴール (Charles Maurice de Talleyrand-Peri…

22,000頭のレピドプトリストで100万語のダイアリスト(笑)

www.oxforddnb.com lepidopterist という単語があり、発音はレピドプトリスト。蝶と蛾を研究する人物である。「鱗翅類研究家」という言葉の方が難しい(笑)そのレピドプトリストで、女性で、世界のあちこちを回って蝶などを集めて、22,000頭の巨大なコレク…

東京の現代アートの画廊 WAITINGROOM

waitingroom.jp よく行く画廊が初めてできたのは WAITINGROOM である。最初は東京の恵比寿にあり、しばらく前に神楽坂に移転した。神楽坂にはじめて行った。京都のアーティストが『伊勢物語』から素材を取って東京の田舎の元郵便局に来て(笑)、碁盤構造と…

アヘン様合成麻酔薬の問題

www.oecd.org オピオイドの問題がエコノミスト・エスプレッソが記事にしていたので、読んでメモ。 オピオイド opioid がアメリカ、カナダ、ドイツなどで大きな問題として現れつつある。オピオイドは、 アヘンを意味するオピアム opium からの派生である。訳…

突発性とparoxysm

「突発性」の概念と paroxysm の概念を較べて、分かったことを記す。 医学史家だから「突発性」という語はよく出会う。色々な使い方があるのだろうけれども、「よくわからない」という使い方がされることもある。「がんは遺伝と生活習慣の二つの要因が重要だ…